2010-08-04 ぼくと言語学

夏の集中勉強会

松本研恒例の,夏の集中勉強会. 今回は

という生成文法に関する本. 2.2を担当したんだけど,いやー,ひどかった. 去年の集中勉強会でSVMについて担当したときも酷かったけど, よく分からないtermや8行に渡る文が結構出てきて,今年も完敗. なんとか手助けしてもらって読み終えた. 2時間も使ってすみません(;;)

残念ながら,別件が急を要していて,明日・明後日は出れそうにないが, 話自体は,(ちゃんと分かっている人に説明してもらえれば)結構おもしろいな,と思った.

ぼくと言語学

高校時代

実は,中国語に興味を持っていて,ラジオ講座聞いていた時期がある. なんというか,漢字だけで伝わるというのがおもしろくてね. 少しは書き言葉からは理解できたんだけど,結局,発音がサッパリできずに挫折.

学部時代

実は「言語の仕組みと働き」という,一般科目を学部のときに取ったんだけど, いくつかのトピックを取り上げるもので,その内容はこんな感じだった.

1 意味論(井元)・・・・固有名詞に意味はあるのか
2 統語論(春木)・・・・語順の持つ意味(構文)
3 認知言語学(大森)・・・カテゴリーの構造・比喩用法
4 歴史比較言語学(尾崎)・・・言語の系統
5 調音音声学(渡辺)・・・・言語音の系統

いやはや,率直に言うと,サッパリ意味が分からなかったし,あまり興味を持てなかった. ちょびっとは興味はあるんだけど,全然理解できないので,げんなりという感じ.

また,言語といえば,フランス語を第二外国語として履修したのだけど, これも興味は結構あったんだけど,全然覚えられなくて,「可」ばかりを取っていた. 文法とか面白かったし,喋れるようになりたいとも思って, 単語帳とか買ったり,ラジオ講座聞いてみたりしてみたんだけど, やっぱり全然できなかった.

自然言語処理をやろうと思ったきっかけの1つには, フランス語をやってみて,「ことば」って面白いのでは, というのを感じたからである.

大学院

そして,言語に興味をもって大学院に入ったものの,なんだかんだで「言語学」自体からは離れていたんだよなぁ. 興味は,ある.強くあるんだけど,あまりに難しそうに感じてね.

だけど,この春あたりから,ちょこちょこ言語学に関する本を読み始めている. 今は,意味論とか語用論に関して特に興味を持っているので,

あたりを読んでいる. mamorukさんも紹介されていたが,masayu-aさんにも紹介された

も,ちゃんと読んでみたいなと思っている.

相変わらず,言語学の話はぼくには高度すぎて,なかなか頭の中に入ってこないんだけど. 興味自体は相変わらず強く持っているので,粘り強く取り組んでいきたい.

今日のHappy

とりあえずは,(出来はともかくとして)自分の担当分をなんとか終えて一安心. 結構憂鬱だったんだよなぁ.. これで,全力で別件に取り組める. あとは,すごい快晴で,気持ちよかったし,洗濯物もすぐ乾いて良かった.

本日のツッコミ
mamoruk (2010-08-04 [Wed] 23:23)

担当お疲れさまでした。

言語学は学部1年生の授業でやるくらいで、高度であるなんてことは全くありません。生成文法なんて、プログラミング言語で言えば for 文や switch 文を教えているようなものです。ただ、文系の人が for 文ですら「高度すぎる」と思うように、興味のない人には難しい思えてしまうようなのです。

好きこそものの上手なれ、といいますか、好きな人はどんどん自分で本を読んですぐに分かって行くのですが、そうでない場合は大変です。(文系の人にプログラミング言語を教えてみると分かると思いますが、興味があるかどうかというより、なんなんでしょうね、興味があっても難しく感じるというのは適性の問題なんでしょうか?)

Jota (2010-08-04 [Wed] 23:48)

そういえば、そんな授業もあったね。
教員の名前まで覚えてるとかすごいね。

shirayu (2010-08-04 [Wed] 23:57)

ありがとうございます.

適性という点に関してはぼくは何とも言えませんが,初歩の段階ではまず心理的な問題はあると思います.
確かに,for文でも,自転車でも楽器でも何でも,
一度理解して(覚えて|できて)しまった人にとっては,どうってことないのかもしれません.
ぼくも,どうして,あんなに難しくとらえていたのだろうと,後から思ってしまうこともあります.
しかし,最初の段階でスムーズに馴染めなかった場合,全くな初心者にとっては,
苦手意識というか,実際以上に難しくとらえてしまうのでは無いかと思います.
あとは,いかに早く「イメージ」を確立するかというのが重要な気がします.
楽器でいえばこんな感じですればできそうだなという感覚で,
学問で言えばぼんやりとした全体像でしょうか.

早く,「なーんだ,そんなに難しくなかったじゃん〜」,と言えるよう頑張りたいと思います.

shirayu (2010-08-05 [Thu] 00:00)

>Jota
なつかしいよね.
昔取っていたノートが出てきてコピペしただけやよ〜(笑)

mamoruk (2010-08-06 [Fri] 12:19)

そうですね、言うなれば「一方的に片思いしているけど心理的な距離があってなかなか声がかけられない」というような状態でしょうか。アイドルに憧れているような状態というか…

でも一言言わせてもらうと、林部君は苦手意識があるテーマが多すぎませんか? 英語とか数学とか…(言語学まで?) もはや初心者であるかどうかという問題ではないような気がします。

自分は全くの初心者であっても必ずしも苦手意識はありません。ものによっては「こんなのはやったらすぐできるはずだ」と思ってやります。性格×習熟度ではないかと思います。ハードルを高く見積もる方が最適な場合もあるので、楽観的なほうがいいというわけではありませんが。

「全てのリスクを考慮したら、一番リスクの高い選択肢を取りなさい」は Stanford の講義で教えられることらしく、そういう挑戦的な環境よりは、日本みたく農耕民族の国で一つの場所に留まったほうが生存確率が上がるのでしょうね。(そういうわけで自分はあまり日本に向いていないと思っています……)

shirayu (2010-08-06 [Fri] 13:34)

確かに,ご指摘のとおりです.
性格による所も多いにあるでしょうね.
少し正確に言うと,苦手意識というものありますが,
知れば知るほど深淵さが感じられ,
ある程度はできるけど,とてもじゃないが得意とは(恐れ多くて)言えない,という意識であります.
これは,別に英語や数学に関してだけでなく,どの分野でもそう思います.

mamoruk (2010-08-06 [Fri] 19:29)

自分が知っている分野に対する苦手意識と、知らない分野に対する苦手意識は違うと思うのですが……(後者の話をしていたつもりです)。前者に関して「知れば知るほどまだ課題が分かる」というのはいいことだと思います。まあ「奥が深い症候群」にならない程度に「奥が深い」と思うのはいいのではないかと。
http://0xcc.net/misc/bad-knowhow.html
(こういう人、よくいます。自戒を込めて)

あと、就職やインターンシップに応募するときには、自分が得意と思ってようがいまいが、自分の強みが何か、ということをアピールする必要があります。絶対的にこれができると言えるかどうかというより、自分の中で相対的にどれが得意か、ということを意識して、それを伸ばしたほうがいいのかなと思います。

来週からのインターンシップも、相対的に述語項構造解析の研究に詳しいので、向こうから「来てください」と言ってもらえたわけですし、「自分は述語項構造解析について知りません」と言ったら誰も取ってくれないでしょう…相手より詳しいかどうかが重要なので、まだまだ分からないことがあるのは別に全然恥じることでもなんでもないと思います(なんとなれば、世界中の誰も知らないことを明らかにするのが研究なので、勉強して分かることを知るのは研究じゃありませんし)。

そういうわけで、どう転んでも向こうでは述語項構造解析の専門家として扱ってもらえると思いますので、ぜひ「これは重要な問題です!そして、自分のこういう手法で解決できる予定です!」とアピールしてきてください (笑)